復活まであと一歩
10年ほど前には考えられなかった水準です。
この20年ものあいだ円高に苦しめられ、中国の発展とともに産業の空洞化が進む日本を見てきた我々の世代としては、感慨深いものがあります。
中国の失速と共に工場が日本に戻ってきて、円安とともに海外からの投資も日本に投下されるようにもなってきました。
あとちょっとですね、日本経済の復活までは。
今後、人件費の上昇まで火がつけば、本物です。
しかし、ここまで来るのに随分と時間がかかったものです。
いや、かかり過ぎました。
これまでに失ったものの大きさを思うと暗澹たる気持ちになってしまいます。
この20年、団塊ジュニアの世代は十分な資産を築くことが出来ず、第3次ベビーブームは起きずじまい。人口減少に歯止めがかかりませんでした。
さらに、人々の社会に対する期待値がとても低くなってしまいました。
「一生懸命働いてもそんないいことない。ほどほど上手くやっていけばいいじゃん」なんて考えが主流になってしまったように思います。
じつは最近、ちょっとしたことで銀行に行く機会がありました。
死んだじいちゃんの遺言が「銀行は信用しちゃだめだ!」だったので、メガバンクを含む何行かに相見積もりをお願いすべく動いておりましたが、それぞれの対応に大きな差があったので、本当に驚きました。
今回、ある取引の条件を聞きにいったのですが、そのなかでも特に気になったのが、とある銀行さん。
その取引に関する窓口がホームページ上に出ていなかったので、別の窓口に諸条件を入れてアポを依頼したところ、後日電話が。
「こちらの支店ではご希望の商品を扱っておりません。預金口座のある支店に連絡してください。」ガチャン!
私、御行と取引ないんだけど…。
この塩対応、彼ら行員の評価項目の中でプライオリティリストに載っていないからなんでしょうけど、大丈夫なのかと逆に心配になってしまいます。
企業は人が最も重要です。その企業を構成する人材が、評価項目しか見ない硬直的な行動しかとれないのは、やはり社会に対する期待値が低いせいなのでしょう。
ひと昔前の銀行マンでしたら、「私どもに是非お任せください!他行よりも絶対に良い条件を引っ張ってきますので!」なんて感じでグイグイ来てましたよ。
そんなのが一杯来るとこっちとしては面倒なのですが、今の日本に必要なのは、そういった人財なんですよ。
わが社でもそうです。評価項目をしっかり守る社員はもちろん素晴らしいと思います。しかし、機を見て評価項目にない事案にも取り組んでいく社員はもっと素晴らしい。
そんな熱い社員を一人でも多く育てる。それこそがわが社のため、ひいては日本のためになる。
人件費向上もそこからなんじゃないかな。
秩父で山に登るIT経営者より