評価面談
わが社の社員は皆それぞれ違う場所で勤務しているので、どうしても面談の開始時刻は18時以降になる。
一人30分くらいを目安に面談時間を設定するのであるが、一日4人ほど行うと終わりは20時を超えてしまう。そして、面談する人数が60人を超えているので、1か月近くこんな日々が続くことになる。
最初は社員の皆の顔が見られ、久しぶりにお話しできるのでワクワクしているのだが、毎回同じような説明をしなければならないので、だんだんと面倒くさくなってしまうのも事実だ。特に、面談が最終局面を迎えている今、共通の説明事項は、ほとんど機械がしゃべっているかのようである。
しかし、評価というのは非常に難しい。
恣意性をなるべく排除しようとすると、情状をくみ取るべき事項に配慮できない。逆に情状をくみ取りつつ評価を行ってしまうと、評価者の主観がどうしても強くなってきてしまい、人によっては全く受け入れづらい形式となってしまう。
私は主観的な評価を続けていると、長期的には人材の成長にとってマイナスになってしまうと考えているので、恣意性をなるべく排除して評価するようにしている。
ただ、恣意性を排除すると、一生懸命頑張っている社員に対し、「この評価項目が出来ていない」と言わなくてはならなくなってしまう。
これがとてもつらい。
頑張っているのは分かっているのだから…
こんな時に、私としては理由をしっかりと説明し、社員に理解してもらうよう心掛けている。
多分、心の中では納得できない思いがあるはずなのだが、うちの社員たちは理解してくれる。
本当にありがたいことだ。
わが社の社員の大半は、仕事に真剣に取り組み、誠実である。しかし、中にはちょっとだけ「いい加減な者」や「ずれている者」もいる。
この子たちとの評価面談は大変だ。
もちろんのこと、評価が低い項目が多い。
これをどう説明し、理解してもらい、改善につなげてもらうかを考えながら話すのだ。
言葉を尽くし、何度も説明するのであるが、なかなか心までは届かない。
彼らは表面上、「分かりました」と言ってくるのだが、次の評価の時に変わっていないことから、本当には理解されていないことが分かる。
ただ、何度も面談を重ねる中で、少しずつ改善をしてくれる社員も出てきてくれるのも事実だ。
これは何事にも代えられないほどうれしい。
わが社の経営理念は「会社は社員が物心両面で幸福を追求するために存在する」「仕事を通して人間的に成長する」である。
仕事を通して人間的に成長してもらえたのなら、こんなに素晴らしいことはないのだ。
時には厳しいことを言わねばならないこともある。しかし、私自身はこの経営理念に則り、皆に成長してもらうことを第一に考えている。
上司との面談なんて、早く終わってもらいたいものだということは理解している。
しかし、私は私で、皆のことを真剣に考えているのである。
そんなことを分かってもらえたら、何よりである。
秩父で山に登るIT経営者より