剃刀になるな、鉈になれ!

剃刀になるな、鉈になれ!

学生時代に知り合った社会人のおじさんに言われた言葉です。
当時の私には全く理解できなかったのですが、今になってみるととても含蓄ある言葉だなと思います。

「剃刀は鋭いけれども、木を切り倒すことはできない。君は鉈のような木を切り倒す人になりなさい。」と言われたと思うのですが、当時の私は「剃刀みたいに鋭い方がいいじゃん」と反発心が沸き上がったため、その方向で記憶に残ったようです。

切れる人ってなんかかっこいい。小さいころからそう思っていました。

議論で発せられた意見にスパッと切り返す。テレビの討論番組で、並み居るコメンテーター達の批判を切り返し、ぐうの音も出ないようにしてしまう。考え方は全く共感できませんが、「ああ言えば上祐さん」のあのディベート能力に憧れていました。

ただ、今となってみればつまらない能力だなあと思います。

現在まで、話が上手で切り返しがうまい人を色々とみてきましたが、それだけで仕事ができるというわけではないことも知ってしまいましたし。

だいたい、話が上手でいろいろと意見を言う人は社内でも目立つのですが、その後に行動が伴わず、成果が乏しい人が多い。そんなことも長年社会で生きてくると分かってきます。

やはり、仕事で何らかの成果を上げるためには、実際の行動が必要なんですね。
社会で結果を出すような仕事をするのは、剃刀ではなく鉈だ、ということです。

私自身も経営者として、鉈を使って行動する、ということを意識しています。

口だけ部下に言っていても何も変わらない。実際に結果が変わるためにはどのような仕組みが必要なのかを考え、仕組みを稼働させるためのアクションプランを実行する。

これですよ、これ。これが鉈です。

政治の世界でも、舌鋒鋭く他者を攻撃する人がいます。一時期はそれがもてはやされ、すごい人のように思われていた時期もありました。

でも、実際にその人が施政してみれば、全く何もできなかった。

その後に続いた首相たちは、世の中を変えるための行動を起こし、仕組みを変えることで世の中を動かしていきましたので、その差がものすごく際立ってましたよね。

しかし、世間的には仕組みを変えることは評判が悪いですね。首相の中には、ガンガン世の中をより良い方向に変えたにもかかわらず、短命に終わってしまった方もいました。

やはり、何かを変える人というのは評判が悪くなりやすいですよね。
人は自分の現状を変えられるのは好きじゃないってことだと思います。

会社でも、現状を変える決断をすると不満が広がっていくのを感じることがあります。

でも、それをやることで会社がより良くなるんです!そういったことを皆に理解してもらうことも経営者の重要な役割。「社員のみんな、ご理解とご協力をお願いします!」と、頑張って説得することも鉈を使ったあとの大事な仕事です。

会社を良くするため、最後には皆にプラスになることなので、協力してよ!お願いします!私も日々、頭を下げてます。

鉈のあと片付けは疲れるなあ。

秩父で山に登るIT経営者より